オジジは、
何でもよく
食べる。
パンだって、
「これは好きじゃ
ない」
という言葉を
聞いたことが
ない。実際、私の
失敗作である
口に入れる
勇気が必要なパン・・・。
でさえ、
食べてくれる。身の
危険を感じたオババは、
絶対食べないが。
そんなオジジでも、
好きな
パンがあるらしい。
それは
フランスパン。思い出すのは、
パリの
地図が描かれた
紙袋。がさごそがさごそ、
紙の
音。
斜めに
厚切りされたフランスパン。
冷蔵庫から
マーガリンを取り出して、フランスパンの表面に丁寧に
塗っていく。
オーブントースターの扉を
開け、パンをふたつ
並べたら、じっとそこで
待つ。
トースターの、ちょっと曇った
窓から中をのぞくと。
じゅわじゅわじゅわじゅわ。マーガリンが
溶け出して、ほのかに
泡立つ
黄金色。
パン
全体に、
じゅわっとマーガリンがしみこんで、ちょっぴり
焼き
色がつけば、
はい、
出来上がり。
部屋中に、いい
香りが
解き
放たれた。
それが、
オジジ流フランスパンの食べ方。
小さいころの私は、オジジの
傍らにくっついて、それを
見ているのが
好きだった。黄金色に
輝く表面が、なんとも言えず
きれいだったのだ。
一口に
フランスパンと言っても、形や製法などで
名称が違うが(今では、買う側の認識も高くなった)、オジジが
食べていたフランスパンといえば、
棒のように
長い形。ごろんとした
まるい形。ラグビーボールみたいな
楕円形。
という記憶しか
残っていない。
たぶん、棒のように
長い
形をしたものは、
バタールだったのだろうな。細長くてスリムな姿というよりは、寸胴で
どすんとした印象。
皮が薄めで
中身しっとり、柔らか。いわゆる
「日本人」好みのパンである。
今では、皮の
存在感を
楽しむ
バケットを好む人も多くなった。だが、私が子供のころは、そんなフランスパンには、なかなかお目にかかれなかったのだ。
何回か、オジジ流の食べ方を
真似してみたことがある。オジジがトーストしていたフランスパンの方が、美味しそうに思えたのは
気のせいだろうか。
隣の芝生は青い。大人になって、パンが
好きになって、
自らパンを
買いに
行くようになった。
食べ
応えのある、噛み
応えのある、
どっしりパンが
好きになった。
フランスパンもいろいろ買ったけれど、なぜか
不思議なことに、バケットやバタールには、手が伸びなかった。
なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ?えーとえーとえーとえーとえーとえーとえーとえーとえーとえーとえーとえーとえーとえーと。自分
自身のことで
さえ、よくわからん。
困ったときは、師匠に
相談すべし。
「なぜ
私は、バケットが買え
ないのでしょう?」
「
単に、持ち帰るのが
面倒だからじゃないだろうか」
という、
極めて
現実的な返答あり。
でもなあ・・・まるいパンは、どんなに重くてもまるごと持って帰るのになあ。「そういえば、
大阪のパン屋さんで、
小さなフランスパンを買っていたよねぇ」
「・・・そういえば、
そうだった」
「確か・・・『
これなら持ち帰るのも
楽』みたいなことを
言っていたような」
「・・・あ。
そうでした、
そうでした」
「確か・・・『これなら一度で
食べきれる』みたいなことも
言っていたような」
「・・・あ。
そうでした、
そうでした」
師匠が、「ほら、これこれ」と見せてくれた写真。

大阪にある
PAINDUCE パンデュースで買ったパンたち。
そうだった。帰りの電車の中で、バケットを
むしゃむしゃ食べていたのはこの私。PAINDUCEは、
野菜使いがとても
上手なお店、という印象がある。
レンコンを使ったパンは、
しゃきしゃきで
もちもちという、とても美味しいパンだった。
いかん、いかん。そんな大事なことを忘れておった。もしかしたら、私の
潜在
意識の
奥深く、
メンドウクサイメンドウクサイメンドウクサイメンドウクサイメンドウクサイという、よからぬ思考が
眠っているのかもしれない。
潜在意識というと聞こえは
いいが、つまりは
根が
ぐうたら、ということ。
と、思ったらひさびさに、ぐうたらな私の手が、
すうっとバケットに伸びた。
パン工房 Moriyaのレトロバケット。

つんっと尖った、きれいな形。小振りなのも嬉しい。
普通のバケットに比べ、味と香りが濃厚。パンに触れた手にいい香りが移る。
ざくっとした薄めの皮。そして、
ぼこぼこあいた気泡。

口の中で、
もちっとして、
すっと溶けるような食感。
長時間ゆっくり発酵させることで、生地が
熟成。皮を噛みしめても
ぎゅっ、中身を味わっても
むぎゅっ。旨味がしみ出してくる。
無塩バターをちょこっと塗って食べたいところだが、最近はこれがお気に入り。

那須にある
あまたにチーズ工房のミルクソース。
大好きだった
FAUCHONのミルクジャムに比べると、
さらさらで、
ゆるやかな甘味を感じる。ほっと懐かしい味でもある。
ひさびさに、ライ麦のパンも購入。ミッシュブロート。

ライ麦50%配合。ライ麦独特の風味が口に広がる。
そして、セーグルオレザンも。いざ、ひとりでプチ
試食会。

去年たまたま、Moriyaの前を車で通りかかり、立ち寄ったことがある。夕方だったこともあり、あまりパンが残っていなかった。「また行きたいなあ」と思いつつ、
徒歩主体の私には、なかなか行き着くことができないお店になっていた。
ところが、ある日、
さつきちゃんが
「Moriyaのパン、
食べてみませんか?」
といって、何回かパンを
分けてくれたのだ。食べながら、ご主人の
守谷さんのことについて、さつきちゃんからいろいろな話を聞くことができた。
私からすれば「こだわり」「手間ひま」と思える工程も、美味しさのためなら
「当たり前」のことと、
受け止めていること。水戸周辺では
珍しく、シンプルながらしっかりとした、ハード系
中心のパンを
焼いていること。
いただいたパンはどれも、噛みしめて美味しい、味わい
深いものだった。
Moriyaのパンについては、さつきちゃんが詳しく
紹介しているので、
My Home+αへどうぞ。
守谷さんについてのお話は、
パン工房モリヤⅡを熟読されることをお
勧めする。
美味しいパンとの
出会いをくれた、さつきちゃんに感謝。
さて、試食会。
ミッシュは、
ブルーチーズ系+はちみつの組み合わせで。

私はこの組み合わせが
大好きだ。
この食べ方を教えてもらって以来、
すとんっと心にはまった組み合わせである。どっしりパンやクルミなどが入ったパンで
試してみると、美味しい。
ジェラール ミュロ福岡で、スライスしたパンに
くるみ+ゴルゴンゾーラ+はちみつの組み合わせを発見。ちょっと感激した覚えがある。
レトロバケットは軽くトーストして、
ミルクソース。
ひとりで、うっふっふっ。
濃厚な味とはいっても、食べ
飽きることは
ない。私の場合、
ぱくぱく食べていたら、いつのまにかなくなってしまった、という感じである。それが美味しいパンというものなのかもしれない。
セーグルマンゴ-。甘酸っぱいマンゴーとライ麦の風味がよくあう。

さつきちゃん、おススメのパン。
この時は、夏を意識して、レモンを加えて
爽やかな風味に仕立てられていた。
リュスティック。

ひまわりの種とくるみが入った、香ばしい味わい。
がしっとした皮と
しっとりとした中身の対比が
味わえる。
パン屋さんで見かけると
必ず買ってしまうリュスティック。水分多め、捏ねずに、長時間発酵させる独特の製法。これが、大きな気泡ととろけるような食感を
作り出す。
代官山マディのリュスティックを食べて以来、
すとととととんっ!とはまってしまった
大好きなパンだ。
チョコクロワッサン。

チョコ好きじゃなくとも、その魅力にはまってしまいそうである。
お店から帰ってきて、部屋に
ちょこんっと袋を置いておく。そうすると、
ふわふわふわわんふわふわふわわんふわふわふわわん。一日中、チョコの香りに
包まれているような、
幸せ気分でいられるのだ。
チョコ×チョコ=チョコ
尽くし。

チョコの風味が
じっくりと味わえる、甘さを
抑えたチョコクロ。
そして、クロワッサン。
ザックザク。私好みの食感だ。
さくさく・ほろほろのクロワッサンも
好きだが、「食いしん坊」な私は、ついつい、食べ
応えのあるものを
選んでしまう。かぶりついた瞬間、
ざくっ。ざくざくざくっ。ざくっ。というのが
好きだ。
そういえば、以前住んでいた千葉で、師匠とふたり
共同戦線をはり、お昼休みの
合図とともに、どちらかが
猛ダッシュ!
そうやって手に入れていた
クロワッサンサンドがある。競争率も激しく、
敗れることも多かった。何度、悔しい思いをしたことか・・・。
クロワッサン フレールのクロワッサンは、大きめで、
ざっくざく。具を挟んでいても、生地がへこたれない。ほかのお総菜パンも美味しくて、数分到着が
遅れるだけで、棚、
空っぽ。
あー、いい運動だった。Moriyaのクロワッサンは、
ざくざく系。守谷さんは、もう少し「しっかり」とした焼きにしたいとのこと。私はぜひそうしていただきたいのだが・・・。
求む、ざっくざく。クロワッサンを買うとき、ついつい
眺めてしまうのは、

こんなところや。
あんなところ。この
端っこ、好き。

愛すべき
端っこ。
実家では、オジジやオババと端っこ
争奪戦を繰り広げていた。
が。
いまや私は、一人
勝ちである。
おほほほほっ。なぜなら、師匠は、大きな声では言えないが・・・・・
顎が弱い。端っこ、独り
占め。
おほほほほっ。あ、ちなみに。
とんかつは、真ん中が好きである。
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